パン作りの主材料のひとつ『塩』について役割と選び方を解説していきます。
こんな人におすすめ
・パン作りを始めてみたい(興味がある)人
・塩がパンにどんな影響を与えるのか興味がある
・どんな塩を選べば失敗しないのか知りたい
パンに塩を入れなくても作れるだろうと考えている人は大間違いです。塩を入れ忘れたり分量を間違えると、パンがベタっとして美味しくないですよ。
大体10分で読める記事になっています。基本を押さえておく意味でも、ご覧ください。
パン作りにおける塩の役割は5つ
パン作りにおける塩の役割は、以下の5つです。
ポイント
- 酵母の活動をゆっくりにする
- パンに味を付ける
- 生地を引き締める
- 殺菌効果をもたらす
- 焼き色がよくなる
塩が入っていないパンは例えるなら味付けを忘れたスープと一緒。お湯を飲んでるのと変わらないですよ。
大事なポイントなので、順番に解説していきますね。
役割1:酵母の活動をゆっくりにする
塩を加えると発酵が進む速度が穏やかになります。
普通に考えると早く発酵した方が良い気がするのですが、急激に炭酸ガスが発生してしまうと、生地が膨らみ過ぎてプカプカした状態になってしまいます。食べてみたら中身がスカスカだったら嫌ですよね。
役割2:パンに味を付ける
フランスパンをそのままかじるとほんのりと塩気を感じますよね。
塩味(えんみ)も美味しさを感じる要素のひとつ。まったく塩を入れていないパンは小麦の味しかしないので味気ないのです。味のベースを作るという意味でも、塩が必要になってくるわけです。
ちなみに塩パンという商品がありますが、あれは塩の含有量が多いから塩パンと呼ばれているわけではありません。パン生地に有塩バターを挟んで焼いてから、表面に岩塩をまぶしたものを『塩パン』と呼ぶのです。
パン生地自体に含まれる塩の量は食パンやフランスパンと大差ないですよ。
役割3:生地を引き締める
僕が役割の中で特に重要と考えているのは『生地を引き締める』効果です。
パンが発酵する際、酵母から生まれた炭酸ガスで生地が膨らんでいきます。でも、塩を入れ忘れるとパン生地そのものが緩んでしまって、ベタベタしてきれいに膨らんでくれないのです。
少し難しい言い方をすると、小麦粉内のグルテン(タンパク質の一種)の繋がりが弱くなって炭酸ガスをキャッチできずに隙間から抜けてしまうことが原因なんです。
このようなパンは炭酸ガスが抜けているので、焼いた時にしぼんでしまうので、見た目も悪くて美味しくありませんよ。
歯磨き粉に塩を入ってるタイプだと、歯ぐきが引き締まりますよね。
難しく考えず、同じイメージでとらえてもらえればオッケーです。
役割4:殺菌効果をもたらす
塩には雑菌の繁殖を妨げる効果があります。
塩の脱水作用によって菌の水分が失われるため、菌の活動が抑止されるんです。ただし、酵母も菌類なので、過剰に塩を添加すると発酵自体行われなくなるので注意しましょう。
役割5:焼き色がよくなる
塩の効果でパン生地内に少しだけ糖分が残ります。糖分が残っていることで、パン自体の焼き色がよくなると言われています。
とはいえ、実際どのくらい焼き色に差が出るのか実感できないレベルだと思ってます。心の片隅に「へぇ、焼き色よくなるのか」くらいな気持ちで留めておけば良いです。
塩の種類と選び方について
塩にもいくつか種類があるのをご存知でしょうか。
具体的に言うと以下の3つに分類されます。
名称 | 説明 |
精製塩(せいせいえん) | 一般的に食塩と呼ばれるものが精製塩です。海水をくみ上げて作った濃い塩水の水分を蒸発させて作られた塩になります。 |
岩塩(がんえん) | 海水の塩分が数万年単位の年月をかけて結晶化したものが岩塩です。お店に白とかピンクの岩塩が売ってますが、これは土壌の色素が塩に染み込んで付いた天然由来の色なんです。 |
海塩(かいえん) | 昔ながらの製法で海水から作られた塩を指します。俗にいう天日塩(てんぴじお)ってやつですね。日本のように雨と湿気が多い国では作られていないのですが、メキシコやオーストラリアでは塩田(えんでん)を使って今でも作っています。 |
基本的にはどの塩を使っても『パン作りは可能』です。ただし、岩塩は粒が粗いのでパン生地になじませにくいですし、海塩は海外から輸入している商品しかないので高価です。
塩にお金をかけたところで、劇的に変わるものでは無いと僕は思っています。
趣味レベルで塩にコストをかけるのはもったいないので、素直に精製塩を使うことをおすすめします。
僕は使ったことないですが、塩にこだわっている人はフランス産の【ゲランドの塩】を使っている人が多いです。
1000年以上前から天日干し製法で作っている伝統的な塩でして、フランス料理のシェフからも高い評価を得ています。日本のパン職人やパン教室の先生も愛用されている方がいらっしゃいますね。
僕は高いので使いませんが、こだわるのが好きな人はどうぞ。
まとめ:塩は必ず入れよう!忘れるとパン生地がベタベタして激マズに
塩の役割と種類についての解説は以上になります。塩って味付け以外にも色々な役割があって驚きですよね。
塩の歴史や特性をもっと知りたい人は公益事業財団 塩事業センターのサイトがおすすめです。『塩百科』というページには、私が説明した内容の何倍も濃い情報が載っています。熟読したら塩オタクになれますよ(笑)
パン作りの材料を知りたい人はこちらの記事もおすすめです。是非、基本を押さえてパン作りを楽しんで下さい。
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それでは、楽しいパンLIFEを!!