手作りパンのノウハウ

パンの材料割合を上手にアレンジする方法【許容量を知れば失敗無し】

パンの材料割合はアレンジする方法を説明

悩み事

そろそろ自分なりにパンをアレンジして作りたいけど、材料の割合を間違えるとパンが上手に出来上がらないと聞いたので心配。

具体的にどのくらいまで材料を増減させられるのか知りたい。

上記の悩みに答えていきます。

こむぎ
もっと甘くしたいから砂糖を2倍にしようと思います!
良いけど、パンが膨らまくてブヨブヨになりますよ。
加えられる最大値を理解しましょう。
ふくとも

パンの材料アレンジを難しく考えている人が多いですが、許容されている量さえ理解しておけばそこまで難しくはないです。とはいえ、パンの種類によって配合割合も変わってくるので、そのあたりの情報を交えつつアレンジする際のポイントを解説していきますね。

パンを焼き続けて2年目の僕が、パン作りで参考にしている書籍や経験を元に解説していくので信頼性は高いと思っています。

「もっとパンを甘くしたい」「少しふんわりと仕上げたい」といったアレンジをしたい方は是非ご覧下さい。

パンの材料割合は微調整可能!アレンジ方法を解説します

パンの材料はアレンジできる

ここで言う材料とは、粉類(小麦粉)以外の水・塩・砂糖などの材料全般を指します。

材料ごとに許容量が決まってくるので、順番に説明していきますね。

大前提:ベーカーズパーセントを先に覚えましょう

材料をアレンジするためには『ベーカーズパーセント』という材料の配分量を計算する方法を理解する必要があります。

簡単に言うと、小麦粉などの粉類に対する材料の配合率をパーセント化したものですね。

以下のような小学生でも理解できる計算式で算出できます。

ベーカーズパーセント算出方法

知りたい材料の分量(g) ÷ 粉の分量(g) × 100 = 知りたい材料のベーカーズパーセント(%)

 

ベーカーズパーセントを理解したい人は、以下の記事に詳しくまとめています。算出する際の考え方やおすすめ計算アプリも書いているので参考になりますよ。

 

ベーカーズパーセントを覚えないと正確に材料調整できない

こむぎ
グラム(g)を量って少し減らすのはダメなんですか?
グラム計算だと、作る量を増やした時に適量がわからなくなりますよ。
ふくとも

単純に考えて『小麦粉500gに砂糖25gを加える』場合と『小麦粉250gに砂糖25gを加える』のでは、砂糖の配分割合が変わってきます。

以下のようなイメージです。

小麦粉の量(g) 砂糖の量(g) 砂糖のベーカーズパーセント(%)
500g 20g 4%
250g 20g 8%

同じ砂糖の量でも、小麦粉が増えるとベーカーズパーセントに4%の誤差が出ました。つまり、同じ20gの砂糖でも小麦粉の量によって割合がまったく違うというわけです。

ふくとも
今回は砂糖を例に挙げていますが、材料全般同じ考え方です。

ちょっとややこしい話をして混乱させてすみませんが、大事なことなので説明しています。

あまり難しく考えずに『グラム計算して材料をアレンジしてはダメ』とだけ覚えておいてもらえればオッケーですよ。

 

パンの材料別に許容量を紹介

続いて材料の許容量な範囲を解説していきます。

尚、酵母は種類によって割合が変わるので、最も扱いやすいインスタントドライイーストで算出しています。

主材料(メイン)

・インスタントドライイースト

・水

・塩

副材料(サブ)

・砂糖

・油脂

・乳製品

・卵

主材料と副材料の違いを簡単に説明しておくと以下の通りです。

主材料・副材料の違い

・主材料:必ず加える材料

・副材料:加えなくても良い材料

もう少し詳しく理解したいですか?

それなら以下の記事を読むと理解が深まるので、合わせてご覧下さい。

 

僕が調査に利用したパンの書籍3冊

参考にした理由は、各レシピの材料に対するベーカーズパーセントがしっかりと明記されているからです。ネットでも色々と情報は出てくるのですが、どうも書籍で読まないと理解出来ないタチなもので、こちらを参考にさせていただきました。

『パンづくりの失敗と疑問をスッキリ解決する本』は独学でパン作りをする人にとにかくおすすめしたい良書です。マジで今まで悩んでいた失敗に対する疑問が解決しました。

ふくとも
パン別に作る手順や成功・失敗例が写真付きで紹介されているので、おバカな僕でも理解しやすかったです。

パン作りに失敗ばかりして悩む日々を送っている人は読んでみて下さい。

 

材料別の許容範囲はこちら!【一覧化】

以下が各材料の調整可能な許容範囲を一覧化したものです。参考までにご覧下さい。

材料名 許容範囲(ベーカーズパーセント) 注意点・補足事項
インスタントドライイースト 0.2~2% 減らすと発酵に時間がかかる
20~80% 増やすと生地がベタついて扱いにくくなる
1~2% 塩バターパンなど後から添加するケースは除外
砂糖 0~19%(菓子パンは20~50%) 耐糖性イーストを使えば、20%以上添加可能
油脂(バター) 0~60% 増やすとデニッシュ系の生地になる(温度管理注意!)
乳製品(スキムミルク) 0~5% 生地に甘みが付く
乳製品(牛乳) 0~50%(水の分量を差し引く事) 牛乳を加えた分だけ水を減らすのを忘れずに!
0~40% 増やすと色と風味がよくなる

実際に試したわけではないのですが、本に記載されているパンのレシピをすべて確認したうえで書いているので、確度は高いですよ。

 

パンの種類別に考えると理解しやすい

さらに踏み込んでいくと、作るパンの種類によって材料のバランスが変わってきます。逆に言うと材料バランスを保つことで、種類別に作り分け出来るようになるわけですね。

僕なりに考えて、パンの種類を5つに分類してみました。

1.ハード系:バゲット、リュスティック、カンパーニュ

2.セミハード系:食パン、フォカッチャ、ベーグル

3.ソフト系:バターロール、コッペパン、丸パン

4.デニッシュ系:クロワッサン、デニッシュブレッド

5.菓子パン:ブリオッシュ、メロンパン

順番にバランスの良い配合率をまとめてみましたので、ご覧ください。

1.ハード系

ハード系パンの材料割合

材料名 ベーカーズパーセント(%)
65~74%
2%
インスタントドライイースト 0.5~1%
準強力粉 100%

 

2.セミハード系

セミハード系パンの材料割合

材料名 ベーカーズパーセント(%)
乳製品 0~2%
油脂 2~8%
砂糖 5~8%
55~70%
2%
インスタントドライイースト 1%
強力粉 100%

 

3.ソフト系

ソフト系パンの材料割合

材料名 ベーカーズパーセント(%)
10~20%
乳製品 2~3%
油脂 10~15%
砂糖 8~12%
50~60%
2%
インスタントドライイースト 1%
強力粉 100%

 

4.デニッシュ系

デニッシュ系パンの材料割合

材料名 ベーカーズパーセント(%)
5~8%
乳製品 2~3%
油脂 50~60%
砂糖 8~12%
50~60%
2%
インスタントドライイースト 1%
準強力粉 100%

 

5.菓子パン

菓子パンの材料割合

材料名 ベーカーズパーセント(%)
8~15%
乳製品 1~3%
油脂 8~15%
砂糖 20~50%
50~60%
1~1.5%
インスタントドライイースト 1.5%
強力粉+薄力粉 100%(70%+30%)

※菓子パンを作る時は、必ず耐糖性のインスタントドライイーストを使って下さい。パン生地が糖分を分解できなくてまとまりません。

まずは表とグラフを参考にアレンジするのをオススメします

パンの種類別の作り方を参考にすれば、大きく失敗することは回避できるので材料を無駄にしません。

思い切って完全オリジナルに挑戦する前に一度パンの種類別に作って技術習得するところから初めて見るとイメージ付きやすいかと思います。

ふくとも
何事もパターンを知ると不安が減りますからね。

 

パンの材料割合を変えると作成工程にも違いが出ます

材料を変えると手順に違いが出る?

当然ながら、材料割合を変えるとパン作りの工程にも違いが出てきます。

レシピ通りだと上手くいかないこともあるので、ちょっとしたポイントを書いておきますね。

こねあげ時間の違い

以下の副材料を多くすると、パン生地をこねてまとまるのに時間がかかるようになります。

・油脂(バター、ショートニング、マーガリンなど)

理由は油脂類が多いと小麦粉のグルテン形成に時間がかかるからです。例えば、食パンレシピを見るとバターやショートニングを最初から材料に加えずに、少しこねてグルテン膜が形成し始めてから加えているのがわかると思います。

参考基本の山形食パン(外部リンク)

 

発酵時間の違い

以下の2つの副材料が多くすると、パン生地の発酵時間が伸びてしまいます。

・塩

・乳製品(牛乳、生クリーム、スキムミルクなど)

塩は1~2%の範囲がベストなのであまり調整の余地はないのですが、乳製品を増やしてパンに優しい甘みを追加したいと考えることもあるでしょう。

乳製品の添加量が多いと、乳脂肪分がグルテンをコーディングしてしまい発酵が遅くなるそうです。とはいえ、極端に時間が伸びるものでもないので、パン生地の膨らみ具合をみて判断していけば問題無いですよ。

 

パン材料の分量はアレンジできる!自分流の味を探していこう

おさらいすると、パンの材料は以下の許容範囲内で自由にアレンジ可能です。

材料名 許容範囲(ベーカーズパーセント) 注意点・補足事項
インスタントドライイースト 0.2~2% 減らすと発酵に時間がかかる
20~80% 増やすと生地がベタついて扱いにくくなる
1~2% 塩バターパンなど後から添加するケースは除外
砂糖 0~19%(菓子パンは20~50%) 耐糖性イーストを使えば、20%以上添加可能
油脂(バター) 0~60% 増やすとデニッシュ系の生地になる(温度管理注意!)
乳製品(スキムミルク) 0~5% 生地に甘みが付く
乳製品(牛乳) 0~50%(水の分量を差し引く事) 牛乳を加えた分だけ水を減らすのを忘れずに!
0~40% 増やすと色と風味がよくなる

パンの種類によって味のバランスは結構違ってきます。最初はレシピ通り作ってみて足し算引き算の考え方で微調整していくのが、アレンジ成功の秘訣ですね。

ふくとも
もちろん、失敗してもいいから完全オリジナルを考えてみるのもアリ!
失敗は成功の元ですよ。
よーし、張り切って砂糖たっぷり激甘パン作るぞー!
こむぎ

以上、パンの材料をアレンジする際に気を付けてほしいことでした。

それでは、楽しいパンLIFEを!!

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