当記事では、【パンをこねる時にグルテンがうまく作れない】というあなたに向けて書きました。
悩み事
- グルテンを作るコツってあるの?
- パンが膨らまなくて悩んでいる
- グルテンチェックの方法をしっかり理解したい
上記の悩みにお答えします。
パンブロガーのふくともです。パン作り歴2年の僕からパン生地にグルテンを上手く作るコツを優しく解説していきます。
グルテンの出来具合ってパン作りに慣れてないと「これで本当に大丈夫なの?」と不安になりますよね。
当記事を読めばグルテン形成のコツやグルテンチェック方法をしっかり理解することができます。見極め方を覚えて不安を無くしていきましょう。
先にポイントだけお伝えしておくと、以下の3点に気をつけると良いです。
グルテンを作るポイント
・正しくこねる
・加える材料にも注意
・疲れても途中でやめちゃダメ
大事なのは、多少荒くてもグルテンが膜状になっているかです。
プロのお手本を見ると、ツルっとしてキレイなグルテンの膜が出来上がっていますが、このレベルを目指すとなると3年くらいお店で修行しないとダメですね。
楽しく作りながら覚えていきましょう。
グルテンチェックの方法を交えつつ、お伝えしていきます。
ぜひ、参考にしてみて下さいね。
フランスパンを代表としたリーン(シンプル)な材料で作るパンは、あえてグルテンの繋がりを弱めて作る傾向があります。※内側に大きな気泡ができているハードブレッドが該当します。
ハードブレッドは、レシピもざっくり混ぜるだけでこねない作り方となっているので、当記事で紹介する手順は参考にしないで下さい。
グルテンができないとパンはどうなる?
グルテンとは、パン生地をこねる際に水と小麦粉内のタンパク質が結びついて形成される網目状の組織。
例えるなら「風船の膜」「家の骨組み」のようなもの。
グルテンができていないと、パン生地が思うように膨らんでくれないので超大事です。
グルテン膜ができてないパンは…
・発酵時に膨らまない
・焼いたらしぼむ
・形が悪くなる
・目が詰まって重くなる
要するに「見た目も味も悪くなってしまう」って感じですね。
簡単じゃない。
確かに言葉にすれば「こね続ければグルテンができるだろう」って思ってしまいがちですが、実際は闇雲にこねてもグルテンはなかなか出来てくれません。
僕も今では10分くらいでグルテンを作り上げることができますが、慣れない時は30分経ってもずっとベタベタした状態が続いてつらい気持ちになったものです。
原因は様々ですが、いくつか注意してパンを作るようにしたら劇的に良くなりました。今ではグルテンが出来なくて困ることはまず無いですね。
僕の事例を交えつつご紹介していきますので、少しでも参考になれば幸いです。
パン生地にグルテンを形成させるポイント5選
グルテンを上手に作るポイントは以下の5つです。
- 正しいこね方を理解する
- グルテンチェックを理解する
- 材料が適切か確認【グルテンできにくい配合あり】
- 疲れても妥協してはいけない
- レシピの手順がすべてではない
大切なのは、グルテンの薄い膜をいかに効率的に作り上げるかですね。この薄い膜の完成度でパンの膨らみ方が変わってくるので超大事。
1.正しいこね方を理解する
そんなこと言われなくてもわかってるかもですが、パン生地にグルテンの膜を作り出すには「こね方が最重要」です。間違ったこね方をしてしまうといつまで経ってもグルテンができませんので、しっかり覚えておきましょう。
こね方のポイントとして、以下の工程を理解しておいてほしいです。
- ボウルでこねる
- 作業台にこすり付けてこねる
- 作業台に叩きつけてこねる
上記3つですね。
ボウルでこねる
パン作りをする時は、ボウルに小麦粉、酵母、水、塩といった材料を混ぜて軽くこねるところから始めると思います。
ここでのポイントは「まだグルテンを意識しなくて良い」ってことですね。
ボウルで混ぜる目的は、小麦粉の粉っぽさが無くしてパン生地を一体化させること。ざっくりと混ぜてパン生地を両手で持ち上げるくらいになったら作業台に出して本格的にこねていきましょう。
作業台にこすり付けてこねる
まずは「グルテンの基礎」を作っていきます。
基礎と言われてもなんのこっちゃって感じですが、要するに「こねて小麦粉を繋げましょう」ってこと。
グルテンを作る=小麦粉に含まれるタンパク質同士を繋げるってことなんですが、ご承知の通り小麦粉って「粉」なので、ちょっとこねたくらいでは繋がってくれません。
慣れないとこね方がよくないのかと不安になってしまうものですが、そこまで難しくはないので安心して下さい。
僕なりに作業台でこねるコツをまとめてみたので、ご覧下さい。
- 手の甲を使って作業台にこすりつける
- 手前から奥へ、奥から手前へを繰り返す
- 手に生地がくっついても我慢
- ムラが出ないように大きくこねる
パン生地がゆるい状態だと、手にパン生地が張り付いて気になってしまうんですが、コレをいちいち取っていると時間ばかりかかってしまいます。
グルテンが出来上がってくれば、手についたパン生地はある程度剥がれるようになるので、グッと我慢してこね続けましょう。
作業台でじっくりこねてもグルテンは形成されますが、ちょっと時間がかかります。パン生地がまとまってきたら「叩きこね」に変更していくことをおすすめします。
目安として「両手で掴んで持ち上げてちぎれない状態」なら叩きこねに変更して良いです。
以下の写真のような状態になっていれば大丈夫ですね。
作業台に叩きつけてこねる
グルテンの働きによって少しパン生地に弾力が出てきたら「叩きこね」をしていきましょう。
手順は以下の通り。写真に振った番号と照らし合わせてご覧下さい。
たたきこねの手順
- 左手を滑らすように側面から差し込み、パン生地をつかむように持ち上げる。
※パン生地がブチブチ切れるようならこね不足。作業台で5分こね直す。 - パン生地の持ち上げた箇所が自分の前に来るように手首を返す。
この時にパン生地に中指と薬指だけで軽く引っかけるように持つように。
持ちづらいようであれば、人差し指も引っかけてOK。 - 手首のスナップを使って、パン生地の表面(上側)を作業台にたたきつける。
力はあまり入れずに遠心力でパン生地を伸ばすイメージで行うのがコツ。 - パン生地の手前を両手で持ち上げて、包み込むイメージで奥側にかぶせる。
材料にもよりますが、慣れないうちは10分を目安にこねてみましょう。
なお、片手で持ち上げて叩きつけるのは何度かパンを作って慣れないと難しいかもしれません。上手く持ち上げられなくて苦戦するようなら、両手で端からすくい上げるように持ち上げても大丈夫なので、少し時間はかかりますがグルテンの繋がりに差は出ません。
僕の丸パンレシピでも、このあたりの手順を解説しています。パンを実際に作る工程と一緒に眺めてもらうとより理解が深まると思いますよ。
-
【超簡単】初めてでも失敗しない丸パンのレシピ
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2.グルテンチェックを理解する
10分こねたらグルテンの状態を一度確認してみましょう。
グルテンの出来具合を確認することを「グルテンチェック」と呼んだりします。
グルテンチェックの方法は大まかに「小さく切って広げる」「引っ張って伸ばす」の2つの方法があります。
どちらの方法でもグルテンの状態を確認できますが、僕は「小さく切って広げる」でいつも確認しているので、今回はこちらを例に解説していきます。
手順1:パン生地の端をカードを使って切り取る
まずはカード(ドレッジ)を用いて、パン生地の1/4くらいをスパッと切りましょう。
切る時はカードを包丁のように横にスライドさせるのはNG。パン生地の断面を傷つけてしまい、発酵しにくくなるためです。
手順2:両手の指を使ってパン生地を平たく伸ばす
パン生地を横に引っ張ると切れてしまうので、親指と人差し指を使ってパン生地をグリグリこするイメージで伸ばしましょう。
この時にパン生地の中心が破れてしまう場合はこね不足なので、追加で5分くらいこね直しましょう。
手順3:グルテン膜の状態を確認する
パン生地を薄く伸ばして後ろから指を当ててみてください。当てた指が透けて見えるくらいになっていたら、グルテン膜が出来ている証拠です。
厳密に言うと粗さがまでチェックしておくべきですが、慣れないうちはパン生地に対して均一にグルテン膜を形成させるのが難しいので、透ける薄さで破れない強度になっていればOKです。
正直、ある程度グルテン膜が出来ていれば膨らまないような自体にはなりません。最初は神経質にならずにパン生地が切れずに繋がっている状態を目指していきましょう。
何度かパンを焼いてクオリティを高めたいと思ってきたら、グルテンの滑らかさも意識して練習してみましょう。その際に成功例の写真と照らし合わせるのが近道ですね。
僕もまだまだ練習中ですが「パンづくりの失敗と疑問をスッキリ解決する本」という書籍のお手本を見て参考にしています。写真多めで説明も大変わかりやすい良書。独学で悩んでいる人は読んでみるとスッキリ爽快な気分になれますよ。
3.材料が適切か確認【グルテンが出来にくい配合もある】
こね方のコツとグルテンチェックの手順をしっかりと理解すれば8割失敗することはないと思いますが、それでもグルテンが出来ないとなると別の原因がありそうですね。
元々グルテンができにくいパンを作ってませんか?
冒頭でも書きましたが、バゲットやブールといったハード系のフランスパンはなめらかなグルテンが作れません。でも、それが正解なんです。
パン屋さんのバゲットは内側には、ボコボコとした気泡がありますよね。あの気泡はあえてグルテンの繋がりを弱くすることで生まれます。
バゲットは水分が小麦粉に対して80%以上含まれることが多いため、こねるのが難しいだけでなくグルテン自体も出来にくくさせています。このようなパンはいくらこねても薄くて伸びのあるグルテン膜は作れないので気をつけましょう。
逆にグルテンをしっかり作るべきパンは以下の通り。
- バターロール
- 食パン
- コッペパン
主に「日本発祥のパン」ですね。日本のパンは甘めでふわふわした食感が特長なので、グルテンをしっかりと作ることが大切なんですよ。
4.疲れても妥協してはいけない
パン生地をこねる作業に入ったら、基本的に休憩厳禁です。
パン生地の中の酵母は生きています。時間が経てば経つほど発酵していくので、こねる時間が長すぎると過発酵(発酵しすぎ)の原因に繋がります。また、パン生地を長い時間外気にさらすと表面が乾燥してしまいパサパサして、焼いた時の膨らみが悪くなる可能性も高いです。
とにかくこね作業を開始したら、グルテンを作って1次発酵させるところまでは休まずやり通しましょう!雑念を捨てて無心に叩くべしです。
5.レシピの手順がすべてではない【練習あるのみ】
世の中にはパン作りのレシピが山のようにありますが、必ずしもレシピ通り作ったら上手くいくとは限らない点は理解しておいて下さい。
パン作りは「環境に左右される料理」です。
例えば、以下の状況が違えば同じ材料でも仕上がりは変わってきます。
- 作業時の室温、湿度
- 小麦粉や水の温度
- 手の温度
- オーブンの性能
- 手ごねの熟練度
挙げ出すとキリがないですね…。
材料がシンプルであるほどパン作りは難しいんですよね。僕も小麦粉、酵母、水、塩だけで作るバゲットは超苦手です。ムズすぎ!
レシピ通り作ってるのに思ったとおり作れないと思ったら、「水の温度はどうか?」「パン生地の温度はどうか?」「オーブンの温度が低すぎたか?」など色々妄想しつつ試行錯誤するようにしましょう。あなたのお家環境の正解はあなたにしか導き出せませんよ。
とにかく何度も何度も考えながらパンを作ることが「腕を磨く最短コース」かなと思います。とはいえ、考えすぎも疲れるので失敗すら楽しむ気持ちでいきましょう。
補足:世の中には「グルテンフリー」のパンもある
ちょっと余談になってしまいますが、世の中にはグルテンフリーのパンがありますよね。要するに「小麦粉を使わずに作るパン」です。
グルテンは小麦粉にしか含まれないので、必然的に小麦粉は使えません。
当記事内で、グルテンが含まれていないとパンは膨らまないと解説しました。そうなると、グルテンフリーのパンはどうやって生地を膨らませているのでしょうか。
リサーチしたところ、以下の2種類が多いという結果でした。
パン生地を膨らませる方法
- イースト(酵母)を使う
- ベーキングパウダーを使う
作り方は一般的にパン作りとほぼ変わりませんでした。ただし、生地はいくら混ぜても液状(ホットケーキ液みたいな感じ)のままなので、発酵させる時に食パンやマフィンの金型に入れるようです。ベーキングパウダーは発酵いらずですが、一気に膨張するので仕上がりはスコーンやマフィンに近くなりますね。
グルテンが含まれたパン特有のふわっとしたソフトな食感は期待できませんが、変わりにモチモチして食べごたえのあるパンになります。
なお、米粉パンは専用の粉(うるち米から作る)を使わないとダメ。白米を乾燥させて粉にしてもパンは作れないのでご注意ください。
グルテンをしっかり形成してボリュームあるパンを焼こう
グルテンを作るイメージって湧きづらいので、最初は思い通りにいかないものです。
僕もこね方がわからなくて思うようにグルテンが作れない時期がありましたが、大体10回くらい考えながら作ったら慣れましたね。
おさらい
- グルテン形成に失敗するとパンは膨らまない
- グルテンは正しくこねないと時間がかかる
- 水温、室温、手の温度にも気を付けよう
グルテン形成で重要なのは、失敗原因を考えつつ何度も挑戦すること。これに限りますね。
当記事で紹介したポイントを意識して、なめらかでキレイなグルテン膜が作れるように頑張ってみて下さい。応援しています。
それでは、楽しいパンLIFEを!!