今回はパンを手作りし始めたばかりで、こういった悩みを抱えて困っている人に向けた記事です。
悩み事
- 1次発酵でパン生地がまったく膨らまない
- 発酵が上手くいかなくてペタッとしたパンしか焼けない
- 目が詰まってしまいボリュームが出せない
- 発酵終わりの見極め方がよくわからない
膨らまない原因はほとんどがシンプルな理由です。
これから紹介する失敗原因に気を付けてもらえれば、パンが膨らまないことに悩まされることは無くなるでしょう。
5分くらいで読める内容なので、自分に当てはまるところが無いかチェックする気持ちで読んでみて下さい。
パン生地が膨らまないとどうなるか?
そもそも膨らまないことの何が問題なのでしょうか。
膨らまなくても材料は同じですから、味に違いが出ない気がしますよね。
残念ながら、それは間違いなんです。
実はパン生地をうまく膨らまないと、以下のようなデメリットが生じます。
膨らまないデメリット
- パンがぼそぼそして美味しくない
- パンを焼いた時、目が詰まってボリュームが出ない
- 不味そうな見た目になる
想像してみて下さい。
お店で売っている食パンの高さが通常の半分くらいだったらどう思いますか?
触ってみたら硬いし、生地がふわふわしていなかったら嫌ですよね。
発酵に失敗するということは、本来作りたかったパンと別物ができあがるに等しいです。
例えば2階建ての一軒家を建築会社に依頼したのに、平屋だったら最悪じゃないですか。もしかすると、この家を建てた職人さんは図面を上手く読めなかったかもしれませんし、依頼主の注文を間違えて解釈してしまったのかもしれません。
詰まるところ、勉強と理解不足だったというわけです。
パン作りも同じで勉強と理解が大切です。ただし、趣味でパンを作っているのでしたら失敗して焦る必要はまったく無いです。
気楽に作りながら覚えていきましょう。
パンが膨らまない原因と対処方法はこれだ!
パンの発酵に失敗してしまう原因の9割は、なぜ失敗したか理解出来ていないからです。
これから紹介する失敗原因に気を付ければ、膨らまないパン作りを卒業することが可能です。なぜ解決できるのかと言うと、僕も実際におかした過ちだからですね。
これらの失敗原因をひとつひとつ取り除くことで、見違えるほどきれいなパンが焼けるようになりました!
ぜひ、あなたも実践してみて下さい。
①発酵温度が低すぎる
発酵時の適正温度を理解していないため失敗するケースがあります。
発酵時のパンが膨らみやすい温度は以下の通りです。
1次発酵:25~30℃
2次発酵:30~40℃
基本的に発酵時間って固定ではありません。理由はパンに使われる材料(主に砂糖、油脂、卵など)によって膨らみ方に差が出るからです。
ベーグルなら1次発酵に30分くらいで済みますが、食パンだと1時間も発酵させる必要があります。この辺は参考にしてるレシピに記載の時間を見て調整下さい。
発酵させる場所ですが、室内で常温発酵させる場合は一定の温度を保つのが難しいので注意が必要です。
特に夏と冬は適正温度に合わせにくいのです。
僕も以前にこんな失敗をしました。
失敗談
レシピに書いてある時間通りに常温発酵を試みたのですが、待てと暮らせどパンが膨らみません・・・結局ぺたんこのパンが焼きあがって大失敗です。
膨らまない原因は冬場で部屋の気温が15℃くらいしか無くて、発酵の進みが遅くなっていたためでした。
温度管理を怠った自分の落ち度ですね。
きっと僕のような失敗はしたくないでしょうから、なるべくオーブンレンジの発酵機能を使って下さいね。
発酵機能を使えば、常に一定の温度を保つことが出来ます。機械って便利!
僕も冬場など気温が下がる時期は1次発酵・2次発酵どちらもオーブンレンジで行うようにしています。時間調整もしやすいので、初心者のうちはうまく活用してみて下さいね。
②材料の計量が適当
パン作りにおいて、材料の計量は非常に大切です。
炒め物や煮物と違ってきっちりレシピに書いてある量を守るようにして下さい。あとで微調整効きませんよ。
特に塩の分量を間違えると大変です。
あまりに塩を多く入れてしまうと、浸透圧でイースト菌の水分が奪われてしまい、最悪は死滅する可能性があります。
失敗しない方法はひとつだけ。どんなに面倒でも、しっかりスケールで量るクセを付けて下さい。
正直、2~3回くらい意識して量るようにすれば習慣化できますから。
いつまでも目分量で量っているようでは、パン作り上達する見込みゼロと言ってもいいです。
適当な自分とは今日でおさらばしましょう!
③副材料を加えすぎている
先ほど塩の入れすぎは厳禁とお話しましたが、砂糖・乳製品といった副材料も加えすぎるとイーストの発酵を妨げる性質があるので注意が必要です。
加えすぎると発酵を阻害する副材料は以下の通りです。
副材料名 | 加えすぎるとどうなる?(発酵しなくなる理由) |
塩 | 浸透圧でイースト菌が死滅する |
砂糖 | イーストが糖分を分解しきれない(耐糖性イースト使えば問題無し) |
乳製品 | 乳脂肪分が発酵を阻害する |
いずれの副材料も、加えすぎると発酵が進まなくなる原因に繋がります。
我流で分量をアレンジしない限りは早々起きない問題かと思いますので、レシピの分量通り作ることが最も大切です。
④こね方が足りない
こね不足も、よくある失敗原因のひとつです。
慣れないうちは「10分もこねたし、もういいだろう」とか考えてしまいがちですが、時間で判断するのは間違い。大事なのはパン生地の状態です。
こねあがりの確認はグルテンチェックで行うようにして下さい。
グルテンチェックとは?
パン生地がこねあがってくると、グルテンと呼ばれる膜が形成されてきます。
グルテンはパンが発酵する時に発生する炭酸ガスやアルコールをキャッチする役割がありますので、しっかり膜が出来ているか確認する作業がとても重要となります。
このグルテン膜の状態を確認する作業を【グルテンチェック】と呼びます。
こねるのが足りない状態だとグルテン膜が弱いため、酵母から発生する炭酸ガスをキャッチできません。
例えば、漁師さんが投網で魚を捕まえようと思っても、穴が空いてたら隙間から魚が逃げてしまいますよね。たくさん魚を捕まえるためには密度のしっかりした網を用意する必要があります。
グルテン膜も同様に密度を濃くすることが大切なのです。しっかり炭酸ガスをキャッチできる状態になっていればパン生地が思い通り膨らんでくれるわけですね。
⑤打ち粉が多すぎる
フランスパンなど水分量が多いパンは生地自体がベタベタして扱いにくいので、作業台やボウルに打ち粉をして作業をしやすくしますが、打ち粉(小麦粉)の量をコントロールしないと発酵に失敗するので注意して下さい。
打ち粉をするということはパン生地に対して小麦粉を追加するということです。
あまり多くの打ち粉をパン生地にかけてしまうと、生地表面の水分が奪われてパサパサして乾燥の原因になります。使う時は薄く張る程度に分量を調整するようにして欲しいですが、こればっかりは慣れですね。
小さじ1くらいの量を指でつまんで使うと、ちょうど良いと思います。
やってみて打ち粉多いなと思ったら、次回から減らして微調整してみて下さい。
⑥1次発酵が長すぎる
パン生地の発酵は1次発酵・2次発酵と分けて行うのが基本です。といっても、時間もかかるし面倒だから1回にまとめたら楽なんじゃないの?って思うかもしれませんね。
実は2回に分けて発酵させるのは、それぞれ意味合いが違うから分けているのです。
ポイント
・1次発酵:こねあがったパン生地を休ませて、発酵を進めることが目的
・2次発酵:成形後のパン生地に、ふんわりとしたボリュームを出すことが目的
1次発酵では、パンの発酵を進ませることが目的なので炭酸ガスを大量に発生させますが、発酵が終わった段階でガスを抜く作業(パンチと呼びます)を行います。ここでガスを抜かないと焼いた時に生地内のガスにムラがあって形が悪くなってしまうからです。
2次発酵は成形後にパンを膨らませることが目的となります。一度ガス抜きをしたことで、炭酸ガスのきめが細かい状態で溜まっていきますので、ふっくらときれいにパンが膨らんでいくようになります。
ところが、1次発酵の時間配分を間違えて長く発酵させてしまうと、2次発酵でパンが膨らみません。
こうなると成形後のパンのボリュームが出すことが出来なくて、見た目もイマイチというわけですね。
対処方法としては1次発酵での膨らみ具合を目で見てチェックすることです。
目安は2~2.5倍に膨らんでいるかですが、フィンガーテストで膨らみ具合を確認することも忘れないようにして下さい。
フィンガーテストのやり方
・ボウルのラップを外す。
・人差し指に強力粉を付けて、パン生地の真ん中に人差し指の第1関節くらいまで差し込む。
・指を抜いてから、しばらく生地の穴がふさがらなければ発酵終了。
↓ 人差し指を差し込んで、
少し待っても、穴がふさがらなければOKです!
⑦発酵後のパン生地を必要以上に触ってしまう
2次発酵が終わってぷっくらと膨らんだ生地を手で触るのは厳禁です。軽くタッチしただけでも中の炭酸ガスが抜けてしまうので、焼いた時に膨らまなくなりますよ。
少し形が気に食わないなと思っても、2次発酵後ではすでに手遅れです。今回はありのままの状態を受け入れて「なぜ、形が悪くなってしまったのか?」を考えて次のパン作りに活かすようにして下さいね。
⑧酵母が古すぎる
僕はインスタントドライイーストをメインに使ってパンを焼いています。
イースト菌や天然酵母といった酵母菌は全て生き物ですから、あまり時間が経つと活動が弱くなってしまい発酵力が失われてしまうので注意が必要です。
目安としてインスタントドライイーストの保存期間は冷蔵庫保存で約24ヶ月なので、それまでに使い切るようにして下さい。
時間が経つにつれて膨らみは弱くなっていきますので、「最近、生地にボリューム出ないなー」と思ったら酵母も疑ってみて下さい。
天然酵母は1週間くらいしか持たないので、においが変わってきたなと思ったら危険サイン!
もったいないですが、心を鬼にして捨てて下さいね。
⑨生地の表面が乾燥している
パン生地の表面が乾燥していると、焼いた時の膨らみ方が悪くなってしまいます。
よくある失敗として、オーブンでの2次発酵後にパンが乾燥してしまうケースです。特にバゲットは乾燥しやすいので、外気にさらしておくのはNG。発酵やベンチタイムの時は固く絞った濡れふきんを被せるようにしましょう。
乾燥対策については、以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみて下さい。
-
パン生地が乾燥してしまう原因と6つの対処法
続きを見る
⑩予熱していないオーブンで焼いている
時間短縮のために『予熱なし』のオーブンで焼くのはやめましょう。
パンは焼き始めがもっとも肝心で、最初の5分くらいにパン生地が一気に膨らむんですね。(パン用語でオーブンスプリングと呼びます。)
予熱をしていないとパンが膨らむタイミングを逃してしまうので膨らみません。また、予熱後のオーブンを10~20分放置してしまうと、温度が下がっている点にも注意しましょう。
⑪焼いている最中にオーブンを開けてしまう
オーブンレンジの内部温度を一定に保つためには、オーブンを極力開けないことが大切です。
あまりに開け閉めが多いと、内部温度が10~20℃くらい設定より下がってしまう可能性があります。
特にハード系のパンは焼き始めにオーブンレンジを開けてしまうと、ほぼ失敗しますよ。理由はパン生地を一気に膨らませるのに蒸気が必要だからです。
オーブンレンジのスチーム機能で蒸気を発生させたとしても、オーブンレンジを開けた際に外に蒸気が逃げてしまいます。
そうなるとフランスパンがパリッと仕上がらないだけでなく、パン自体のボリュームも出ない結果となるので気を付けて下さい。
とはいっても、パンが焦げそうになったら位置を調整したいですもんね。
ずばり!焼き始めて5分過ぎたら開けてもOKです。
酵母菌は温度が60℃を超えると、すべて死滅すると言われています。
さすがに250℃近いオーブンの中に5分もいたら、酵母菌は死滅してしまいます。
パン生地の発酵は止まっている状態であれば、多少開け閉めしても焼き上がりのボリュームに影響は出ません。
まとめ:少しの工夫でパンはキレイに膨らみます
自分が無意識に行っていたことはありましたか。
11個ほど改善点をご紹介しましたが、どれかひとつ気を付けるだけでもパンの膨らみ方が大きく変わってきますよ。
いずれも簡単なチェックで改善出来ますから、ぜひ意識しながら作ってみて下さい。
パンの発酵がうまくいけば、ボリュームのある美味しいパンを作ることが出来ます。
パン作りって気を付けることはたくさんあるので大変です。
でも、一度にあれこれ考えるのは疲れるので無理しなくて良いですよ。
逆に失敗した方が意識するようになるので、一度くらいは経験した方が良いです(笑)
失敗するとどうなるか理解するので良い勉強になりますので。
これからも、僕が失敗して悩んだことをあなたの役に立つように記事にしていきますので、無理のない範囲で一歩ずつ上達していってくださいね。
気軽に楽しくパンを作る!が「ふくともパンブログ」のモットーです。
パン作りの失敗対策にこちらの記事もおすすめ
それでは、楽しいパンLIFEを!!