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学校給食にパンが出る回数が減っている!?食育だけが問題じゃないよ

アイキャッチ

みなさんは学校給食で出るパンは好きでしたか?

僕は小学校の時、コッペパンが好きでした。
特にはちみつとマーガリンが半分ずつ入っている小さいパウチが出た時は歓喜でしたね。コッペパンの真ん中を割ってたっぷり絞って食べると最高です!

あのパウチってなんて名前なのかな?と思って調べてみたら、「ディスペンパック」って言うんですね!長年の疑問が解決しました。

 

他に子供が大好きなパンといえば、やはり『揚げパン』でしょう!

毎回、給食で揚げパンが出るとクラスでじゃんけん争奪戦が始まったものです。といっても、僕は気弱な少年だったので、あまり参加しませんでしたね・・・。

そんな給食定番の主食であるパンが給食で提供される日が激減しているのを、あなたはご存知でしたか。

Yahooニュースに、こんな悲しい記事が出ていました。(動画再生されますので音量注意)

給食の主食「パン」が激減 その理由は…(削除されました)

まとめると以下のような内容です。

  • ・学校給食でパンが提供される割合が1学期に1回しかない学校がある。
  • ・農林水産省が2016年から和食給食に補助金を出す制度を設けたことが影響しているらしい。
  • ・パンを作る工場は1945年頃には『6000社』あったのに、現在は『1300社』まで激減している。

ふむふむ・・・主な要因は国の地産地消をうながすための政策と、昔ながらの町工場の減少が関係しているようです。

今回の時事ネタについて調べてみたところ、根本的な原因は国の和食給食の普及活動は関係なくて、パン工場の経営難や跡継ぎ問題が大きな要因でした。

このままだと、本当に学校でパンが食べられなくなる日が出てくるかもしれません。

ふくとも
将来的にパンの自給が減って、パン嫌いの子供が増えないか心配です!

今回は僕が調査した結果と、どういった対策が必要か記事にまとめました。

少し難しい話も出てきますが、我が子の未来についても考えさせられる内容になっています。

あなたが子育て世代ならば、食育の大切さとパン給食の実状は知っておいて損はないでしょう。

農林水産省の政策【和食給食の普及】とは?

大人の男性

まずは本当に国の政策が影響しているのか調べてみました。

農林水産省が推進している食育について、以下のように書かれています。

食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。

要約すると、食べることに対して正しい知識を身に付けて健康な大人になりましょうということです。

昨今では、スーパーやコンビニで簡単に食べ物が手に入るため、食に対する考え方が希薄になってきていると僕は感じています。ダイエットのためといって平気でご飯やパンを残す大人や、魚が切り身で泳いでいるものだと思っている子供もいる時代です。

僕は子供の頃から親に「ご飯は残さず食べなさい!」と教わって育ったので、今でもお米一粒まで大切に食べます。
釣りも趣味でよく行くので、アジやサバを自分で釣ってさばいたりもします。やはり釣りたては味が格別ですし、自分でさばくことによって生き物をいただいているという気持ちを強く感じることが出来ますね。

こういう気持ちを育てる活動こそが『食育』なんだと思います。

世の中、便利になればなるほど食べ物のありがたさがわからない子供が増えていくのではないか心配ですね。
ぜひ、農林水産省には食育推進を頑張っていただきたいです。

とはいっても、食育と和食給食を推進することは別の話ですね。もう少し掘り下げて調べてみましょうか。

2019年度の予算概要に、和食給食の普及についての記述がありました。

和食給食の普及
和食給食の普及に向けた献立の開発や子供や学校関係者を
対象とした食育授業の開催を支援します。

随分とさっぱりとした内容です。この記述だと和食を提供すれば、補助金が本当に下りるのかよくわかりませんね。

さらに調べてみると、2017年度の「地域の魅力再発見食育推進事業実施要領」に、補助対象の経費が書いてありました。

(補助対象経費)
 献立の開発費:調理師謝金・旅費、賃金(アシスタント)、食材費、資料印刷費、通信運搬費、消耗品日費
 食育授業費 :講師謝金・旅費、会場借料、資料印刷費、通信運搬費、消耗品費

つまり、和食給食を提供すること自体に補助金が下りるわけではなくて、新しい和食の献立を作りたい場合や食育のプロを学校に呼んで授業をする際に補助金がもらえるということでした。

パンを学校給食に出さない理由には繋がらないですね。

ただ、これは非常に良い政策ではあります。
特に少子高齢化に伴い田舎の食文化が失われつつある昨今。ぜひ若い世代に郷土色を語り継いでいってもらいたいものです。

昔ながらの郷土食の良いところは味が素朴ながら、栄養バランスが非常に優れている点です。

郷土食は基本的に手作りですし、味付けは塩、砂糖、しょうゆといったシンプルな調味料しか使いません。

スーパーで売っている既製品は大量の添加物が使うことで旨味を感じやすくしている反面、栄養バランスが偏りやすいんですね。

調味料に頼りきった料理ばかり食べていると、子供の味覚がどんどんおかしくなって偏食になってしまいます。

若いうちから食に対する知識をしっかり身に付けるためにも、国には食育にもっと力を入れていっていただきたいですね。

ライン

話を戻しますが、和食給食の普及がパンが給食に出る割合が減る要因では無いことはわかりました。

続いてパンの作り手。パン工場に焦点を当ててみましょう!

給食パンの作り手が減っていることが大きな要因

パン職人

学校給食に卸すパンは我々がお店で買うパンと違い、専門のパン工場で作られています。

冒頭で述べたように1945年頃は『6000社』もあったパン工場が『1300社』にまで減少しています。

全盛期の約5分の1は尋常ではない減り方です。どういった背景があるのでしょうか。

コンビニ・スーパーが安くて美味しいパンを売り始めた

1990年頃になると、コンビニやスーパーでパンが安く手に入るようになりました。

個人でパンを作っているパン工場は急な値下げ競争についていけず、次々と撤退していく結果となりました。

給食にパンを卸している工場も、学校に卸すだけでは収益をまかなうことが出来ないので、商店に卸すケースもあります。
コンビニやスーパーにも置いてもらえれば、大幅な売上アップに繋がりますからね。

市場拡大を阻む大きな壁が大手製パン企業です。ヤマザキや敷島製パン(Pasco)、フジパンなど大手企業に小さなパン工場は太刀打ちできず、卸す先を次々失って廃業に追い込まれてしまったケースも少なくありません。

Yahooニュースには、実際に卸し先の減少で廃業に追い込まれてしまった、キムラヤ・平子さんのコメントが書かれています。

平子さん曰く、パンは単価が安いので1個売れても利益は5円にしかならないそうです。

つまり、安定した数を売ることが出来ないと経営が立ち行かなくなるので、卸す先がひとつ減っただけでも経営難に陥ってしまうわけですね。

後継者不足で廃業するケースもある

パン工場全盛の1945年頃から、パン工場の経営を始めた人は今は60~70歳くらいになります。

機械もどんどん古くなってしまい、買い替えるにも最新機種となると多額の費用が必要になってきますし、修理するにしても古すぎて手に負えない場合があります。

ましてや、卸す先がひとつ減っただけでも、経営難に陥るリスクがあるため、正直先行きが不安定な職業ではあります。

先行きが不安定という背景もあってか、後継者を探さずに自分の代でひっそりと幕を引く工場も多いようです。

工場が減ることで、別の工場の労働環境が悪化する事態に

今まで学校にパンを届けていた工場が急に廃業したら、パンが学校に届かなくなってしまいます。

そういった場合は別の工場から学校にパンが届けられるようになるそうですが、場所によってはかなりの長距離をカバーしなくてはなりません。

遠くまで運ぶということは、今まで以上に夜遅いうちからパンを焼き始めないとお昼に届けることが出来なくなります。

こういった状況が続いてしまうと、低賃金での長時間労働が当たり前になっていきます。

労働環境の悪化は社員の働く意欲を失わせる結果となり、人手不足を招くことになるでしょう。

小さなパン工場だと一人抜けただけでも致命傷となり、廃業に繋がってしまいますね。

 

パン工場が生き残っていくためにやるべき事

町工場の人

給食向けのパンだけ作っている工場は非常に苦しい状況に立たされています。

金沢県では、給食用パン県内シェア4割の大手企業が事業を撤退したというニュースが出ました。
その影響で小中学校78校中64校で、2019年4月から給食でのパンの提供が廃止されています。

参考記事パン給食 業界限界 金沢など休止 全国でも縮小(中日新聞)(削除されたため現在は閲覧不可)

金沢県の9割近い学校でパンが食べられない、ちょっと異常事態に感じますが、それだけ企業にとって苦しい局面が続いているんですね。

 

この調子でパン工場が次々廃業していくと、学校側がパンを注文したくても届け先が無くなってしまい、本当に給食からパンが消えてしまう可能性も出てきます。

これからも生き残るにはパンを店頭で売ったり学校に卸す以外の販売手段を考えていく必要がありますね。

今の世の中はインターネットを使って簡単にパンを売ることが出来る時代です。
ちょっとした工夫で盛り返すことは可能ではないでしょうか。

最近だと、子供の頃に食べた学校給食を食べることが出来る飲食店が流行っていたりしますよね。

こういった飲食店にパンを卸したり、個人向けに給食用のパンを売るビジネスなんかも面白いのではと僕は考えています。

 

正直、ご飯ばかりだと飽きませんか?

食パン食べたい人

僕はご飯もパンも好きなので、半分半分のペースで食べたい人間です。
※パンのブログを書いているからといって、パンしか食べないわけではないのです(笑)

和食は日本人の身体に合っているため、学校給食で推奨するのはわかります。
ただ、パンの提供割合が極端に減らないような対策も行っていただきたいものです。

パンの歴史を辿ると、日本で1718年に発行された『御前菓子秘伝抄』という本に酵母を使ったパンの記述があるそうです。

300年も日本でパンを食べられているのですから、立派な日本の文化と呼べるのではないでしょうか。

あんパンやカレーパンは日本が発祥のパンですからね。

たしかに和食を後世に伝えることも大切ですが、給食の献立は和洋中とバランス良く提供する方が子供たちの食育推進に大いに役に立つのではないでしょうか。

和洋中バランスの良い食事を提供することで、子供達には以下のメリットがあります。

  • ・他国の食文化に興味がわく。
  • ・食べたことのない献立に対する驚きが生まれる。
  • ・食べ慣れておくことで好き嫌いが減る。

食べるを楽しむということが一番の『食育』です。

僕自身、学校で色々な食文化に触れたことで食に対する興味の強い大人になれたような気がします。(パンは週1~2回は出ていましたね)

農林水産省さん!ぜひとも、パンを楽しみにしている子供たちの想いをくみ上げていただけないでしょうか。

ふくとも
今後もパンが全国の学校給食で安定普及され続けることを願っております。

まとめ

小学生の少女

パン給食が激減している背景には、国の政策が少しかかわっているようですが、一番の大きな問題はパン工場が次々廃業に追い込まれていることでした。

日本は国の成長と共に企業が大きく成長していく反面、小さな町工場や下町の商店街は苦しい状況に陥っています。

10年~20年後に国が何の対策もしなかったら、いったいパン工場がどれだけ残っていられるでしょうか。
パンを食べた思い出の無い給食・・・パンブロガーとしては悲しい気持ちになります。

小学校の思い出って大人になっても、ずっと覚えているものです。
そんな記憶の1ページにパンを食べた思い出を残してあげたいですよね。

国が取るべき対策としては、以下の2案が考えられます。

  1. 学校給食でパンを安定供給するための政策を行う。
  2. パン工場を援助するような政策を行う。

①が現実的な線ですが、パンの供給に国が動くとしたら本当に深刻化してからだと思うので、手遅れになっている可能性が高いです。

僕に子供が生まれて、小学校にあがった時にパン給食が無くなっていないことを切に願うばかりです。

「パン給食が無くなった時どうしよう・・・」って考えた時に、家でパンが焼ける技術があるとでかいなって思いました。パンを作って食べる事を伝えるのって、まさに食育と言えます。

あなたも未来に備えてパン作りを覚えて、自分で子供達への食育を行ってみてはいかがでしょうか。

手作りパンなら添加物を使わずに作れるので、身体にも優しくておすすめですよ。

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