当記事は、パン作りでバターやショートニングをパン生地にうまく混ぜるコツを知りたいという、あなたに向けたアドバイス記事となっています。
悩み事
パンを手作りした時にバターがうまく混ざらなくて困っている
パン生地がずっとべちゃべちゃで全然まとまらない
油脂には、バターとショートニングがあるけど何が違うの?
上記の疑問に答えていきます。
パンブロガーのふくともです。手作りパンを2年ほど継続している僕ですが、パン作りを始めたばかりの頃はバター(油脂)がうまくパン生地と混ざらずにベチャッとなって苦労しました。そんな僕から油脂をパン生地に加える際に気をつけていることをご紹介していきます。
記事の内容
- 基本知識:油脂がパンに与える効果とは?
- 油脂をパン生地に混ぜる時のコツ
当記事があなたのパン作り上達の助けになれば幸いです。
超基本:油脂がパンに与える効果を覚えよう
バター、ショートニングなどの油脂を上手にパン生地に混ぜるコツを理解する前に、油脂そのものがパン生地に与える効果を理解しておきましょう。
油脂がパンに与える効果
・パンの老化を遅らせる
・生地の伸びが良くなる
・成形しやすくなる
・パンを柔らかく仕上げる
上記は油脂に共通される効果です。
もう少し細かい話をしちゃいますが、例えばバターとショートニングではパンに与える効果が違うのをご存知でしたか。
代表的な3つの油脂の役割を順番にご紹介していきますので、基本知識としてご覧下さい。
バター
動物性油脂であるバターの役割として特出すべきなのは、以下の2点です。
バターの役割
・バターの風味をプラス
・シート状に成形して折り込める
一番大切なのは、バターの風味をパンに加えられる点ですね。この仕事はバターにしかできません。
バターが入っているパンって、その香ばしい匂いですぐに分かるかと思います。特にバターの風味を活かして作るブリオッシュやバターロールには欠かせない材料となります。
また、バターを薄く伸ばしてシート状にしたものをパン生地に折り込んで、サクサク食感のクロワッサンを作ったりもできます。これもバターにしかできない仕事です。
ショートニング
植物性油脂のショートニングは、無味無臭でクセが無いのが特徴です。
ショートニングの役割
・無味無臭
・パンにツヤを与える
無味無臭なので、パン自体に香りは付けたくないけど、ふっくらと柔らかいパンにしたい時にショートニングが活躍してくれます。
パンの表面がツヤっとした仕上がりになるので、特にイギリスパン(山型食パン)のような型焼きするパンにショートニングを加えることで型から取り出しやすくなって便利です。
世の中には、ショートニングはトランス脂肪酸が多いので利用したくないという方もいるかと思いますが、昨今では「トランスファットフリー」と呼ばれるトランス脂肪酸が含まれる量を1%以下に抑えた商品が主流になっています。
ショートニング=身体に悪いというのは、もはや過去の話になりつつありますね。
オリーブオイル
パン作りに使う油脂はバターやショートニングが主流ですが、イタリアを代表するパン「フォカッチャ」や「グリッシーニ」を作る際は、少量のオリーブオイルを加える特徴があります。
オリーブオイルを加える目的は、独特の香りをパンに付けたいからですね。
オリーブオイルの役割
・オリーブオイルの風味を加える
特にイタリアでは国の特産品であるオリーブがたくさん収穫できたので、バターやショートニングよりも気軽に使えた点も大きいです。
オリーブオイルは水分を含むので、パン生地に加える際は水と置き換える必要があります。
例えば、材料に【水180ml】と記載されているレシピがあったとして、そこにオリーブオイルをプラスしたい場合【オリーブオイル20ml+水160ml】のようになりますね。
液体油脂であるオリーブオイルは、バターやショートニングと違って水に混ぜて使えるので扱いやすいです。
当サイトで紹介しているフォカッチャやグリッシーニのレシピでも、オリーブオイルを使用しています。参考までにご覧下さい。
バター・ショートニングをパン生地にうまく混ぜるコツ
バターがうまく生地に馴染んでくれない・生地がドロドロになってまとまらないなど悩みが尽きないですよね。
僕の経験を踏まえて、パン生地に油脂を加える時のちょっとしたコツを解説していきますので、参考にしてみて下さい。
1.グルテンが8割ほど形成されてから油脂を加える
レシピを参考に作っていれば問題無いかと思いますが、油脂をパン生地に加えるタイミングは「グルテンが8割作られてから」が一般的。
8割ってどのくらい?って思うかもですが、簡単に言ってしまうとパン生地を広げた時にうっすらと指が透けるくらい伸ばせる状態ですね。
以下の写真くらい指が透ける状態なら、油脂を加えて問題無し。
パンのグルテンとは、人間で言うところの骨にあたります。骨が出来上がっていない状態では、身体のお肉を支えられませんよね。
油脂を最初に加えてしまうと、グルテンが出来上がらずにベチャベチャした状態が続くので、いつまで経ってもパンが出来ません。
2.必ず使う前に常温に戻す
バターは冷蔵庫から出して10~20分経って柔らかくなったものを使いましょう。
冷蔵庫から出したてのバターは固いだけでなく、パン生地が冷えて発酵の邪魔をしてしまいます。
僕もパン作りを始めたばかりのころに何度かやってしまいました。つい冷蔵庫から出し忘れちゃうんですよね。
冷たいバターを強引に加えたことでパンを1次発酵させた時に全然膨らんでくれず、結局は1時間発酵させるところを3時間かかる結果となりました…時間もったいない。
バターを常温で戻すのって慣れないと面倒に感じてしまいますが、実は材料を計量するタイミングで常温に出しておけば、良い具合にほぐれてくれます。
とにかく習慣化するしか解決策は無いので、材料計量時にバターを常温に出すクセを付けるようにしましょう。継続は力なりです。
3.柔らかくなりすぎているとダメ
常温に戻し忘れと逆パターンですね。
溶けて液状になってしまったバターをパン生地に加えてしまうと、水分が生地表面に染み出てしまい馴染んでくれません。なので、早めに冷蔵庫から出しすぎるのもNGなんです。ほんとバターってデリケート…。
バターのベストな固さは「人差し指で軽く押してヘコむ程度」が理想的。常温に出して30分以内には使うようにしましょう。
4.細かくしてから加える
パン生地に加える直前のポイントです。
油脂を大きい塊のまま加えると、パン生地に馴染ませるのに時間が掛かるので、細かく分割してから加えるようにしましょう。
バターだったら、手でちぎって押し込むようにパン生地に加えてあげて下さい。ショートニングなら、計量後に手ですくいながら生地に塗りつけるイメージですね。
5.生地を切って染み込ませる
生地に早く油脂を染み込ませる際にカード(スクレイパー)を使って、生地をぶつ切りにしてあげると効率よく染み込んでくれます。
僕の場合は、生地を三つ折りにしたら6等分くらいに分けてあげるようにしています。
6.馴染ませるコツは揉み込みにあり!
例えるなら、鶏肉にタレを染み込ませるようなイメージですね。
両手をフル活用して油脂を揉み込んであげると、1分くらいでベタベタしていたパン生地がツヤっとした感じになってきます。
色々試した結果、この方法が一番はやく馴染んでくれたので是非お試し下さい。
行き詰まった時は先人の知恵を借りよう
ネットが一番手軽な情報源かと思いますが、欲しい情報が分散されているので探すのに苦労しますよね。
そんな時に役立つのは、やはり製パン技術をまとめた本です。
特に僕がおすすめしたいのは「パンづくりの失敗と疑問をスッキリ解決する本」です。
色々な本を読み漁りましたが、結局この本がパン作りの悩みを的確に答えてくれます。ビギナーの気持ちをよくわかってらっしゃる。
なお、僕のサイトでもパン作りの実践経験を活かして、初心者向け基礎知識を公開中です。
技術書レベルには到底及びませんが、パン作り初心者の気持ちを考えながら書くようにしているので、参考になるかと思いますよ。もちろん無料で読み放題。
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初心者でもパンが作れる!ゼロから学ぶパン作りの基本知識
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まとめ
バターやショートニングをパンに加えると、パンの老化を遅らせたり、柔らかくしたりと良い効果をもたらしてくれます。必ず使わなければいけない材料ではないのですが、ソフトなパンやクロワッサン、イギリスパンを作る時には外せない材料となっています。
おさらい
・バターとショートニングでは役割が違う
・冷蔵庫から出したばかりのバターを使うのはNG
・生地への揉み込み方に気をつけよう
最初は油脂がうまくパン生地に馴染んでくれなくてイライラしてしまうかもしれませんが、諦めずに今回ご紹介したコツを参考に再挑戦してみて下さいね。
それでは、楽しいパンLIFEを!!
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