手作りパンのノウハウ

天然酵母作りに挑戦しよう【素人でも失敗しないレーズン種の作り方】

当記事では、手作りパンを発酵させるのに使える素人におすすめの天然酵母の作り方を書きました。

こんな方におすすめの記事

  • 天然酵母を使ったパンに挑戦してみたい
  • 酵母を手作りしてみたい…素人にも作れるの?
  • 失敗したら嫌なので、実際に作った人の意見を聞きたい

パンブロガーのふくともです。パン作りを2年ほど続けており、パン好きがこうじて「パンシェルジュ検定3級」を取得しました。
そんな僕から「パン作りに使える天然酵母の作り方」を、実際に培養した時の写真を交えてお伝えしていきます。

ふくとも
ぶっちゃけると、僕もこの時に初めて天然酵母を作りました。
私も作ってみたいです!
こむぎ

ずっと挑戦したかった天然酵母。今回は「レーズン種」と呼ばれるレーズンで作る、素人が挑戦しやすい天然酵母にしてみました。

初挑戦だし、失敗するかな…と思ったのですが、案外うまくいくものですね。

基本的に衛生面にさえ注意しておけば、レーズン種を作るのはそれほど難しくないと思います。
実際に作る工程を交えて解説していきますので、天然酵母に挑戦する足がかりとして参考になれば幸いです。

天然酵母が「なにか」を知っておこう

天然酵母は、簡単に言ってしまうと「自然界に存在する菌の集合体」です。

菌と聞くと「汚いもの」のようなイメージを持たれる人もいるかもですが、世の中には有益な菌がたくさんいるんですよ。例えば、「ビフィズス菌」「麹菌」「納豆菌」あたりは有名ですよね。

天然酵母は、人体に無害な菌たちが偶然に集まって出来たものなので、まったく同じ酵母は2つと作れません。しかしながら、この微妙な味わいの差を楽しむのが、天然酵母を使う魅力だとも言えるでしょう。

イースト菌も「天然酵母」って知ってましたか?

イースト菌とは、パン作りをしやすいように人工的に培養された酵母。ご家庭でパン作りをする時は、ほとんどの人は「イースト菌」をパン酵母に使っていると思います。

割と勘違いしている人が多いんですが、イースト菌も元は自然界に存在した菌であり、天然酵母の仲間なんですよ。

培養しやすい・パン作りに適してるなどの理由でイースト菌が培養されるようになって、世界中に広く流通しているだけの話です。

正確に分けるならば、イースト菌は「人工培養酵母」、今回ご紹介するレーズン種は「自家培養酵母」ってカテゴリーになりますが、今回は便宜上「天然酵母」で統一しています。

 

天然酵母でパンを作ると何が違うの?

使うパン酵母が、イースト菌でもレーズン種でも結果的にパンは作れます。

こむぎ
じゃあ、イースト菌を使った方が楽でいいじゃないですか?

自家培養した酵母を使うと、イースト菌では表現できない独特の風味や味わいをプラスしたり、保水性が高くなって日持ちするパンを作ることが出来るんですよ。

天然酵母パンのメリット

  • 自家培養酵母の独自の風味や味わいが楽しめる
  • 保水性がよく日持ちする
  • ゆっくりと発酵してくれる

イースト菌でパンを作ったことがある人はわかるかと思いますが、作りやすい反面パン自体の味が単調になりがちなんですよね。まぁ、同じ材料で作っているから当然なんですが…。

レーズン種を使ってパンを作ると、ブドウのほのかな酸味と甘みを感じますし、酵母の熟成具合によって香りや味わいが変化していきます。面白いですよね。

ただし、デメリットもありまして作るのに7日くらいかかるので、使いたい時にすぐ準備できません。なので、パン屋さんでは毎日継ぎ足しながら天然酵母を育てています。

 

天然酵母の種類【難易度に違いあり】

自家培養して作る天然酵母は、元にする原材料(培地と呼ぶ)に付着した菌たちをおこして作りますが、具体的にどんな材料を使うことができるんでしょうか。

一般的に使われる原材料の種類は以下の4つです。

培地に使う原材料

・ドライフルーツ【難易度:低】

・生の果物【難易度:中】

・粉(小麦粉、ライ麦粉)【難易度:中】

・花やハーブ【難易度:高】

難易度に差が出るのは、原材料に含まれる糖分や作る工程に違いがあるためです。

他にも「乳酸菌」を含むヨーグルトや「海洋酵母」を含む昆布やわかめでも自家培養することができるそうです。割と何でもありに思えてきました。

今回は最も失敗しにくいと言われるレーズンからおこす「レーズン種」と呼ばれる酵母作りに挑戦してみました。

素人でも簡単!レーズン種で天然酵母を作ってみよう

レーズン種は、その名の通りレーズンを使っておこす自家培養酵母です。
天然酵母の中でも作りやすいそうなので、初挑戦してみました。

レシピはこちらを参考にしています。

 

レーズン種の材料と道具

レーズン種の材料

レーズン種を作る際に必要な材料と道具は以下の通り。

レーズン 100g
砂糖 15g
300g
フタ付きガラス瓶(1リットル) 1個
こむぎ
おっ、揃えるのは簡単そうですね。

レーズンは何でも良いというわけではなく【オイルコーティングしていないもの】を選ぶ必要がある点にだけ注意して下さい。商品のラベルに「ノンワックス」とか「油不使用」とか書いてあればオッケーです。

オイルコーティングされているレーズンがダメなのは、油が水を弾いてしまい酵母が育ちにくくなるのが理由です。オイルコーティングありでも作れなくはないみたいですが、少しでも成功率を上げたいのであれば、オイルコーティングされていないものを選ぶようにしましょう。

油不使用のレーズンってスーパーで扱ってないケースが多いです。僕は近くのお店で手に入らなかったので、富澤商店の「有機レーズン」をポチりました。

調べたところ、アマゾンや楽天でも販売してますね。

レーズン種の作り方【全8工程】

こちらのレシピを参考にしながらレーズン種作りに初挑戦してみましたので、作る工程を交えつつお伝えしていきますね。なお、工程を細かく分けて書いていますが、基本的に同じことの繰り返しでした。

酵母が育っていく過程を写真に収めましたので、日にちが経つとどう変化するのかをご覧ください。

 

step
1
瓶を沸騰したお湯で煮沸消毒する

ガラス瓶を煮沸消毒する様子

これ絶対にやって下さい。

酵母作りで一番大切なのは「材料を腐らせないこと」です。

ガラス瓶は一見清潔に見えても、雑菌が付いている可能性が高いので、煮沸消毒しておかないと酵母が雑菌に負けて腐る可能性があります。

言うなれば「酵母と雑菌の仁義なき戦い」ですね。酵母軍を勝たせるためには、雑菌の量をいかに減らしておくかが大切になってきます。

なお、あなたの手にも雑菌って存在していますので、瓶の内側やレーズンに直接手で触れるのもNGですよ。

 

step
2
【1日目】材料をすべて瓶に入れて室温で放置

レーズン種1日目

1日目の様子

室温は「23~26度」が理想的ですね。
あまりにシビアに考えずに「あなたが快適に過ごせる場所」に置いておけばいいです。

ふくとも
酵母も人間と同じで生きてます。
過ごしやすい温度でゆっくり育てていきましょう。

 

step
3
【2日目】軽く振ってからフタを開けて空気を入れ替える

レーズン種2日目

2日目の様子

1日経ったら、空気の入れ替えを行いましょう。

やり方は簡単で、レーズンを下から上にすくい上げるような感じで混ぜてあげて、最後にフタを開けるだけです。空気の入れ替えが終わったらすぐにフタは閉めましょう。

 

step
4
【3日目】軽く振ってからフタを開けて空気を入れ替える

レーズン種3日目

3日目の様子

やることは【2日目】と変わりませんが、レーズンが水分を含んで大きくなってきたのが写真から見て取れますね!

なお、酵母が育ってくるとフタを開けた時に「プシュ!」と音がします。これは酵母が発生させた炭酸ガスが抜ける音で「上手くいっている証拠」なので安心して下さい。

カビちゃったらどうしたら良い?

水面に白っぽい物体が浮いてきたらカビの可能性があります。とはいえ、初期段階なら消毒したスプーンですくえばリカバリー効きますよ。

僕も白っぽいものが浮いていたので、取り除いたら平気でした。

明らかに腐った匂いがしてきたら残念ですが失敗です。気を取り直して最初からやりなおしましょう!

 

step
5
【4日目】軽く振ってからフタを開けて空気を入れ替える

レーズン種4日目

4日目の様子

レーズンがシュワシュワしてきて、上の方に浮いてきました!
順調順調(^^)

瓶の中に炭酸ガスがたまってきますので、忘れずしっかりと換気してあげましょう。

ふくとも
フタを開けた時に甘いブドウの香りがしました…素敵。

 

step
6
【5日目】軽く振ってからフタを開けて空気を入れ替える

レーズン種5日目

5日目の様子

シュワシュワした感じは【4日目】と比べて、少し落ち着いてきました。

こむぎ
そろそろ完成ですか?

酵母の出来具合を確認するポイントとなるのが、澱(おり)と呼ばれる酵母の集合体の状態です。ちょっと瓶を持ち上げて底を覗いてみましょう。

レーズン種5日目2

カビてるわけではございませんよ!

ふくとも
白っぽい沈殿物が澱(おり)ですね。
これがなめらかになってきたら完成となります。

まだ少しざらついた感じだったので、さらに酵母を育てていきます。

 

step
7
【6日目】軽く振ってからフタを開けて空気を入れ替える

レーズン種6日目

6日目の様子

やることは1日目からの繰り返しです。

最初は面倒そうだなと思っていたのですが、毎朝やるのが日課になってきましたね。

30秒くらいの作業なので、まったく苦になりません。

 

step
8
【7日目】レーズン種ついに完成!

レーズン種7日目

7日目の様子(完成)

液全体が白く濁った感じになりました。
瓶の底を見てみると澱(おり)が液全体に馴染んだような見えます。

レーズン種7日目2

ふくとも
つ、ついにレーズン種が完成しました!

育ててる感が半端ない一週間でしたが、やることは単純なので手間ではなかったですね。

 

step
9
冷蔵庫で1日寝かせてから使おう

作り終えたら冷蔵庫で保管して翌日以降に使うようにしましょう。

特に野菜室の温度が適しているので、そちらで保管することをおすすめします。

なお、2日に1回の頻度で良いですが、定期的に瓶を振って空気の入れ替えをしてあげて下さい。保存状態が悪くなければ【約1ヶ月】パン作りに使うことができます。

ふくとも
作るパンの量によりますが、今回の分量だと15回くらいパンを焼けそうです。

 

天然酵母ができたら「パン作り」に使ってみよう!

レーズン種が出来たら、実際にパン作りをしてみましょう。

レーズン種は液体のまま使うこともできますが、発酵をよくするために小麦粉と混ぜて「中種」を作っておくと良いですね。

記事が長くなってしまったので、中種の作り方は別記事にしました。

レーズン種を使ったパン作りをしてみたい方は、合わせてご覧ください。

レーズン酵母の「中種」を使って焼いたパンがこちらになります。

天然酵母パン

どっしりとした見た目

天然酵母パン

小麦粉に少しライ麦粉を入れてます

今回は「カンパーニュ」を焼いてみました。
パン生地が思った以上にゆるくなって成形が大変でしたが、味にレーズンの風味がプラスされており、もっちりとした仕上がりだったのが印象的。翌日もしっとりしていたので、たしかに保水性が高いようです。

試食してもらった妻からは「もっちりして美味しい!」と高評価いただきました…嬉しい。

まとめ:レーズン種は思ったより簡単!難しく考えてる人は一度作ってみて

正直、レーズン種を作る前までは「日数もかかるし面倒くさそうだな…」と思っていた僕ですが、完全に勘違いしてましたね。

酵母を育てるのが楽しいと言っている人の気持ちが今ならわかります!

おさらい

・レーズンはノンワックスを選ぼう

・衛生管理だけ気をつければ失敗しません

・冷蔵庫に保存して【1ヶ月以内】に使い切ろう

酵母作りが楽しくなってきたので、今後も色々挑戦してみます。

あなたも一緒に酵母の魅力(沼)にハマってみてはいかがでしょうか。

それでは、楽しいパンLIFEを!!

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