パン作り初心者向けの悩み解決記事です。
今回は以下のような悩みを抱えている人のために、ふくともが実践している問題解消法を伝授します。
悩み事
- パン生地が手に付いてイライラ!ストレスが溜まる。
- いくらこねても、パン生地がまとまらずベタベタする。
- 正しいこね方がわからない。手早くまとめる方法を知りたい。
強力粉や塩、イーストといった材料をひとつにまとめて作業台でこね始めた時に、最初に悩むポイントが「生地が上手にまとまらない」です。
クックパッドなどのレシピサイトを見ると、パンの材料や発酵時間が詳しく載っていても、こね方まで詳しく書いてあるケースは少ないです。正しいこね方を知らずにボーっとパン生地をこねてみると、いつまで経ってもパン生地がまとまってくれません。
また、パン作りに慣れない時期にありがちなのは、以下の無限ループパターンです。
①パン生地をこねる
②手に付いた生地がベタベタして気になる
③すぐに手に付いたパン生地をスケッパーを使ってはがす
⇒①~③を繰り返す
こね始めのパン生地は粘土のようにベタベタしているので、指や手の甲にくっついてはがれずにイライラしてしまいますよね。指から生地をはがしたいのはわかりますが、これを繰り返しているとパン生地がまとまるのに時間ばかりかかってしまいます。
結論から言うとこね始めのパン生地がベタベタするのは仕方ないことなので多少我慢してこねる必要があります。
パンを作る過程で強力粉と水分が混ざり合ってくるとグルテンと呼ばれる膜がパン生地内に形成されますが、こね始めの状態ではグルテン膜が出来上がっていません。グルテンが形成されていない状態のパン生地は結合が弱いので、触った時に手にくっついてベタベタするわけです。
早くこねあげるためのコツとしては手に付いた生地を取る回数を減らすことが重要。短時間で多くこねることで生地がまとまる時間も短縮可能です。
普通は長くても10分くらいこねれば、パン生地がまとまりだします。
もし、10分以上こねて生地がまとまらないようであれば、こね方以外に問題があるのは明白です。
問題点を理解しないといつまで経っても生地がまとまらないので、美味しいパンは作れませんよ。
パン作りは平均して3時間はかかるものですから、失敗して時間を無駄にしたくないですよね。
今回は3つの改善策を僕の経験からまとめました。
大体10分で読める内容になっていますので、パン作り成功のヒントにご覧ください。
パン生地がまとまるメカニズムを知ろう
小麦粉がパン生地としてまとまるのは、グルテンの力によるものです。
小麦粉に含まれるたんぱく質にはグリアジンとグルテニンという成分が約85%存在しています。
粉の状態ではグリアジンとグルテニンは分かれていますが、水を加えてこねることで結合してグルテンに変化するのです。
形成されたグルテンがパン生地全体を膜状に覆うことで、酵母から発せられる炭酸ガスをキャッチしてパンが膨らむようになるわけなんですね。
ちなみにグリアジンとグルテニン(つまり、グルテン)は、小麦粉しか含まれないタンパク質であることをご存知ですか。
米粉や片栗粉をいくらこねてもパンのようにグルテン膜は形成されません。パンを作るためには小麦粉を配合するのが基本なんですね。ということは、小麦粉が含まれていればグルテン膜が形成されてパン生地は必ずまとまる!ってことになります。
結論から言うと小麦粉が含まれていればまとまるのですが、方法を間違えるとまとまるまでに非常に時間がかかる。これがパン生地がずっとベタベタしてしまう結果につながるわけですね。
いくらこねてもベタベタしてまとまらないのは、以下の3つの原因が考えられます。
生地がまとまらない原因
- 水分量が多いから
- 水の温度が低すぎる
- 叩きこねするタイミングが遅い
特に原因として多いのが水温です。ここを直すだけでパンのまとまり方がグッと変わります。
順番に掘り下げていきますね。
改善ポイント1:水分量が多い
パン作りの基本は『スケールでしっかり量ること』です。
仕込み水の量も当然ながら分量通りきっちり入れることが必須となります。
僕もパン作りを始めたばかりのころに、計量の重要さを軽く考えていた時期がありまして、小麦粉に水を加えた時に、勢い余って多めに入れてしまうことがよくありました。こねてもこねても生地がまとまらず、1時間近くこねて腕がパンパンになったのは良い思い出です・・・。
例えば、レシピに水の分量が150mlと記載されているのに、実際は160ml入れてしまうとパン生地に含まれる水分の割合が多くなっているので、まったく膨らまないわけです。10mlって少ないように感じますが、パン作りでこの誤差は致命的な結果を招くことになりますよ。
水の分量は小麦粉の量を100%とすると、水は60~65%が一般的です。ただし、例外もあるのでご注意。あなたが作ろうとしているパンが食パンやバターロールといったパンならば良いのですが、バゲットやカンパーニュといったフランスパンを作るときは水分量が多くなります。
バゲットやカンパーニュのようなハード系のパンの場合、水分を70%含ませる場合が多いです。(こういうパンを高加水パンと呼びます。)
水分を多く含めると、ハード系パン特有の表面パリパリで中がもっちりした生地に仕上げることが出来ます。変わりに生地が非常にゆるいので扱いが難しいんです。
慣れないうちは素直にバターロールや丸パン、フォカッチャといった水分量が60%~65%程度のパンから作るのがおすすめです。
改善ポイント2:水の温度が低すぎる
パン作りの水自体にこだわる必要はありませんが、温度だけはしっかり計測しないといけません。
冷水を間違えて小麦粉に加えてしまうと、小麦粉に含まれるグリアジンとグルテニンが冷えてしまうので、なかなかグルテン膜が形成されないのです。僕も何度か冷水で作ってしまったことがありますが【100%失敗】しました。
適正の水温は季節にもよりますが、以下が目安です。(近い温度になっていれば大丈夫)
季節ごとの水温目安
- 春の水温:35℃
- 夏の水温:30℃
- 秋の水温:35℃
- 冬の水温:40℃
季節毎に水温に差を設ける理由は、夏場は少し水温を下げないと発酵時に生地の温度が高くなってしまい、発酵し過ぎてしまう場合があるため。逆に冬場は室温が低いとパン生地が発酵しないので、水温をあげているというわけです。季節を考えながらパンを作ることは大変でもあり楽しみのひとつでもありますね。
水温を計る際は料理用の温度計があると便利。僕はこちらのタニタの温度計を愛用しています。
パン生地の内部温度を計ったり、フライパンで揚げ物する時の温度管理にも使えるので一本あると重宝しますよ。
改善ポイント3:叩きこねするタイミングが遅い
あなたがパン生地をまとめるのに時間がかかってしまうのにお悩みでしたら、いつもより早めに叩きこねに切り替えてみてはいかがでしょうか。
詳しいパンのこね方は基本の丸パンレシピを見て欲しいのですが、最初は作業台に擦り付けながらパン生地をまとめるのが一般的。こねる時間はバターロールなら15分くらい、食パンだと慣れていないと40分くらい必要です。
何気に重労働なんですよ!
毎日手で生地をこねているパン職人さんは本当に偉大だなって思いますが、さすがに身体が持たないので機械でこねるお店がほとんどですね。
家でパンを作る際はさすがにパンこね用の機械は買えないので、手でこねるしかありません。手ごねは一番疲れて嫌になるポイントなので、出来ることなら時間を短くして楽をしたいところですよね。
そこで早くこねあげるコツをあなたに伝授します。
それは、作業台に擦り付けてこねる時間を短くして叩きこねに早めに切り替えるクセを付けることです。とはいっても、パン生地がある程度まとまらないと叩きこねに移れないわけですが。
ひとつの目安としては、まだパン生地がゆるくても良いので、少し強めに引っ張って持ち上がったら叩きこねに切り替えが可能と思って下さい。最初はゆるかった生地も叩きこねを始めた途端にまとまりだします。
試しに、いつもより早めに叩きこねしてみると、意外といけるもんだなぁと実感できるんではないでしょうか。
まとめ:3つのポイントをチェックすれば、ベタベタなんてさよならだ
おさらい
- 水の分量はスケールを使って、きっちり量る
- かならず温水を使うこと(温度は季節で調整)
- 叩きこねに、いつもより早く切り替えてみる
パン作りは試行錯誤の連続です。たまたま最初は上手に作れたとしても次が成功するとは限りません。
今回の記事で書いた水の分量や水温は常に気を付けてもらいたいポイントなので、これからはパン作りを始める前にチェックしておいていただけると失敗を減らすことができますよ。
僕もパン作りをする時はメモを利用して一度頭を整理してから作るようにしています。そうしないといつまで経っても覚えられません。
極論ですが、失敗から学ぶことはたくさんありますので、どんどんパンを焼いて失敗しましょう。その時に必ず失敗原因をメモするようにして下さい。
次に同じパンを作るときにメモを見て失敗ポイントに気を付けることで、必ず1歩前進します。
パンを作る度に改善点を見つけることが出来れば、10回目には前よりも10箇所改善されるということです。何事も小さな一歩を積み重ねることが大事ということですね。
パン作りの失敗対策にこちらの記事もおすすめです。
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それでは、楽しいパンLIFEを!!