日本人が大好きなもっちりとした口当たりのパン。自宅で手作りできたら素敵ですよね。
実はある製法を用いることで、手軽にもっちり食感を実現することができちゃいます。その名も「湯種(ゆだね)製法」。
当記事では、独学でパン作りを3年続けている僕から、湯種がパンにもたらす効果や作り方をお伝えしていきます。

結論から言うと、湯種製法でパンを作るともちもち感にはっきりとした差が出ます。また、水分が逃げにくく、翌日以降も美味しく食べれたのが嬉しかったですね。
手作りパンが趣味の僕から、実際に作ってみた感想や味の違いもお伝えしていきます。ぜひ、ご覧ください。
湯種がパンに与える効果【メリット・デメリットは?】

湯種(ゆだね)は、小麦粉と熱湯を混ぜて作るちょっと変わったパン生地。パンの材料に少し加えることで、以下のような効果をもたらしてくれます。
湯種を加えるメリット
- もちもちした食感になる
- 保水性があがって、乾燥しにくい
- 熟成されて甘みと旨味がアップ!
上記のようにパンに有益な効果を与えてくれます。ただし、使う前に12時間ほど冷蔵庫で寝かせる必要があるので、作業時間が増えるのがデメリットですね。

湯種が向いているパン
湯種を使うともちもちとした食感のパンに仕上がります。
一番適しているのが「食パン」ですね。専門店でも湯種製法で作っているところが多かったです。
他にもバターロールやコッペパンに使うのもありですね。
逆にフランスパンやクロワッサンのようにサクッとした歯ごたえのパンに湯種は適しません。このようなパンには湯種ではなく、小麦粉と酵母を混ぜた発酵種を使うようにしましょう。
湯種を手作りしてみよう!【もっちり食パンを作る】
湯種の材料は以下の2つだけ。超お手軽です。
湯種の材料
- 小麦粉(強力粉):75g
- 熱湯:112g
今回は強力粉の1.5倍の熱湯を加えて作りました。同じ分量にする人もいたりするので、このあたりは好みですね。


ぬるま湯ではなく、100℃くらいの熱湯を使わないとダメ。あとは道具として「18cm~20cm程度の鍋」と「ステンレス製のボウル」を用意しておきましょう。
湯種を作る手順
一般的な湯種の作り方を見ていきましょう。
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1熱湯を作る
鍋に水を入れて、沸騰するまで温めます。この時、ステンレス製のボウルを上に乗せて一緒に温めておくのがポイント。せっかくの熱湯がボウルが冷たいままでは台無しですからね。ガンガンに温めておきましょう。
※熱したボウルは高温になるので注意!必ず耐熱グローブを付けて触るようにしてください。
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2ボウルに強力粉と熱湯を加えてしっかり混ぜる
とにかくお湯が熱いうちにゴムベラを使って手早く混ぜましょう。スピードが大事。
強力粉と熱湯が混ざることで、みるみる糊化(こか)していきますよ。
糊化(こか)ってなに?
簡単に言うと、デンプンに水と熱が加わって糊(のり)状に変化することです。
身近な例だと、炊飯器で炊いたご飯がまさに糊化。もっちりとした白米たまりませんね。糊化した小麦粉を12時間寝かせることで、まるでお餅のような生地になります。これをパン作りに使うと、不思議ともっちり食感になるって寸法です。
ボウルの中で混ぜ終わった小麦粉は、以下のように少しベタッとしており、お餅とは程遠い感じです。

糊化した強力粉
指で引っ張ってみるとブチブチとちぎれて不安になりますが、今はこれでオッケーなので安心してください。
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3ボウルにラップをして、冷蔵庫で12時間休ませる
12時間後の湯種は、寝かせる前と別人。試しに指で引っ張ってみるともっちりと伸びるのがわかりますね。この変化は驚きでした。
以上で湯種の完成です!簡単ですね。


湯種食パンの材料
湯種を寝かせ終わったら、パン作りに使ってみましょう!
今回は定番の食パン(1.5斤)を作ってみます。材料は以下の通り。
湯種食パンの材料(1.5斤)
強力粉 | 300g |
塩 | 7g |
砂糖 | 27g |
インスタントドライイースト | 4.5g |
水(35~38℃のぬるま湯) | 187g |
スキムミルク | 12g |
バター | 30g |
湯種 | ※先ほど作ったもの |
下準備
・湯種は使う前に30分ほど常温に置く
・バターも30分ほど常温で置く
・水は冷水ではなく、ぬるま湯を用意
湯種食パンの作り方
作る手順は以下の通りです。
湯種食パンのレシピ
- ボウルでバター以外の材料を混ぜる
- 作業台でこねる
- バターを加えてさらにこねる
- 1次発酵(30℃50分)
- 2分割して15分ベンチタイム
- 俵型に成形する
- 油脂を塗った焼き型に入れる
- 2次発酵(40℃90分)
- フタをかぶせて200℃で30分焼く
作ったことがある人はお分かりかもですが、一般的な食パンと手順は同じです。体感としては、湯種が少し生地に混ざりずらいので念入りにこねる必要があるくらいでしょうか。
全部説明すると長くなってしまうので、いくつか大事なポイントだけご説明していきます。なお、手順ひとつひとつを詳しく確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
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【型で覚える】パンの作り方ってシンプル!?基本の流れを解説します
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湯種の加え方
最初に材料に対して湯種を加えていきますが、混ざりやすいようにちぎって入れるようにしてください。
写真のように手で小さくちぎることで、こねる時に均一に混ぜ込むことができますよ。
食パンの成形
食パンを成形する際は、以下の手順に沿って進めてください。

食パンの成形手順
上記の手順3まで終わったら、端からクルクルっと巻いて俵型にしましょう。
こんな感じ。上記のように成形したものを2つ作って焼き型に入れれば完了です。なお、僕のは少し表面がデコボコしてますが、なるべくつるっとした表面に仕上げるとよいです。
湯種食パンの感想【味の違いは?どのくらい保つの?】

個人的な感想ですが、湯種食パンの方が触った時に弾力があり、フワフワ感よりもモッチリ感が強い印象です。
湯種はパン生地にしっかりと馴染んでおり、見た目は特に変わりありません。

厚切りにして食べる!
食感は期待通りモチモチ!!
甘みがあって軽いパンなので、何もつけなくてもおいしい。3枚ぺろりでした。なお、翌日もトーストせずに食べてみましたが、切った瞬間からモチモチが残ってて驚きました。
いつも作っている食パンだと、翌日はパサつくので、湯種効果おそるべしです!

まとめ
- モチモチとした弾力が生まれる
- 食パン特有の甘みを存分に楽しめる
- 翌日以降も美味しく食べれた
残念ながら常温でどのくらい保つのかは検証できませんでしたが、少なくとも3日はモチモチしてました。
それ以上保存する場合は冷凍がオススメ。劣化を防げますし、1ヶ月は保ちますよ。
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湯種は難しくない!もっちりパンを手軽に楽しもう
湯種って専門的なスキルが必要そうなイメージありますが、実は簡単なんです。
12時間寝かせる必要があって時間はかかるのがネックではありますが、湯種を使ったもちもちパンは一度食べたらクセになる美味しさ!
時間をかける価値は十分にあると感じました。


それでは、楽しいパンLIFEを!!